技能実習制度と日本の闇、繰り返される外国人差別

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

外国人から高い評価を受ける日本国

治安が良く、賃金が高く、思いやりのある国日本に憧れて、夢を持った外国人の若者を食い物にしている企業が非常に多いことが問題になっています。

外国人の間では、和の伝統様式、武道、礼儀作法、品格のある民として非常に日本は人気です。

若年層の間ではさらにコスプレとアニメ、アニメ作画技術などで、憧憬を抱かれることもしばしば。

そこで、期限付きで外国人に技術付与を行うことで日本での労働力確保を賄おうとする一石二鳥な制度として、技能実習制度が導入されました。


実習生が抱える負担と夢

実習生で日本に来る外国人はアジア地域からがほとんどです。

物価の違い、日本語学校の費用、仲介業者への手数料、それらは母国の給料では支払えないため、彼らは日本で借金をすることで、新天地に踏み出してきます。

その金額は百万を下ることはなく、学校費用だけでも総額で数百万円に上ります。

つまり、彼らは最初から数百万円単位の借金を抱えて、日本語にハンデを抱えながらも、お金持ちになりたい、母国の家族を幸せにしたいと夢をもって働こうとしているのです。


実習生の夢を打ち砕く日本人たち

そんな彼らの崖っぷちな立場を逆手にとり、60%以上の方が最低賃金以下で労働していたのが、今回の問題です。

日本の法制度を知らず、職探しが困難で、不慣れな土地で努力をする人間を搾取している鬼畜が多くいるのが現代の日本なのです。

もちろん、全ての雇用主が日本人なわけではありませんし、全ての企業がこの所業を行っているわけではありません。

現在、日本には50000人以上の実習生が在籍しており、その1割弱が失踪者として「把握」されています。

彼らは酷い労働環境に耐えかねて、不法移民状態になり、外国人街に流れていくケースが散見されます。

バブル景気の時代に、アジア諸国を蹂躙した日本企業ですが、今度は国内に呼び込んで同じような搾取が行われているのです。

実習生から搾取されて利益は当然のことながら、企業が搾取しているわけですが、そのサービスを受ける国民も無関係ではありません。

クールジャパン政策を皆さんは覚えているでしょうか。

年間500億円を超える予算を計上する中で、投資先の企業は国の息がかかっていたり、財政的に援助が必要ない企業が名を連ねています。

アニメ業界にも億単位の援助が行われる中で、現場の人間にその資金は回らず、コンテンツを運営する側でその資金はプールされているのです。

大量の資金が大企業や公機関で流用され、国民や現場の人間に享受されない現実に関心を示してください。


日本人に欠如する感覚

こうした不祥事の数々を目のあたりにしても、無関心・他人事と判断する国民は多いわけで、反省の色を示さない厚顔無恥な経営者がいるのが今の私たちが住む日本です。

失敗するのは誰にでもあることで、それを隠そうと見ないようにしようとするから、どんどん深みにハマってしまうのです。

看過できないこれほど大きな問題が露見したならば、改めることに努めるのが肝要です。

まずは低賃金の調査、最低賃金の徹底と厳罰化、その後の実態調査、実習生と経営者側の意識調査も行った方が良いでしょう。

根本的な原因は、お題目だけの中身のない政策アピールが好きな日本政府とそれに付随する公機関が問題ですが、実際に搾取を行った経営陣の道徳も著しく欠如しています。

実習生たちはSNSで状況を逐一共有しています。

それは現在の日本人たちの薄い連帯感とは恐ろしいほど異なっており、彼らは個よりも群の強さを理解しています。

観光立国を目指すのなら、富裕層ばかりではなくこうした労働層の気持ちも惹きつけるべきです。

ここからが正念場です。

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