日本の道徳②一日一善

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

日本に数多ある善行を促す諺

情けは人の為ならず、とはよくいったもので、人に施す善行は相手のためだけではなく己に返ってくるものですよ、と良い行いを促す言葉は日本に数多く存在します。
一日一善もその名の通り、一日の間に一つ善い行いをするよう心がけなさい、という四字熟語です。
ここでいう善行は、見返りを求めるものではなく、困窮した方を無償で救う慈悲の行いのことです。
例えるならば、道に迷った人に声をかけたり、子供が取れない高さに引っかかったボールをとってあげたり、自発的に、かつ、打算なく人助けをすることです。

皆が心掛ければ世が変わる

一日一善の興味深いことは、一日に一回だけ善い行いをすることが習慣になれば、困った方に自然と手を差し伸べる癖がつき、一日に二善も三善も行うようになっていく、という意味が隠されているです。
これをもし世の人々が心がけてくれたら、社会は思いやりに満ちた微笑みに溢れた社会へと姿を変えていくでしょう。

現状と実践

不思議なことに、現代は善い行いすることを恥ずかしいと思う方がいます。
また、他人に施すことに意味がないと考える方もいます。
自分だけの空間に固執し、他人と距離を保ち続け、生身のコミュニケーションを煩わしく思う。
悪い意味で、人の目を気にしない方も沢山います。
行き着く先がどのような結末かは語るべくもありません。
そうならないためにもまずは、周囲と違う行動をすることを恐れずに一日一善を実践してみることです。
何もしないことが楽だとしても、人を助けることが良いことだとは皆が理解しています。
ほっておいた方が楽かもしれません。

でも、ちょっと人のことを気にしてひと手間を惜しまずに手を差し伸べてみてください。


お天道様が見ている

決して誰かに褒めてもらうわけでもなく、自分が得をするわけでもありません。
でも、周囲の人は貴方の行いを見ています。
誰もいなかったとしても、お天道様が貴方を見ています。
また、貴方がなりたい自分を描いた時に、困っている人々に奉仕する姿と、立ちっぱなしのお年寄りを前にしても寝たふりをする姿と、どちらが理想に近しいでしょうか。
あなたが、この文章をパソコンで読んでいるか、スマートフォンで読んでいるかは分かりません。
ただ、ここまで読んで頂けたなら、画面から目を離して、周りを見渡してみたり、今日出会った人々を思い返してみてください。
目を向けることで初めて気づく、あなたの助けを求めている人々の姿がそこにはあることでしょう。

0コメント

  • 1000 / 1000