なぜSDGsやチベット問題が最近になって話題になっているのか

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

メディアが誘導する世論の裏側にあるもの

2015年に国連によって提唱されたSDGsは、周知のとおり、持続可能な発展をシンボリックな17のカテゴリーに分けて、可視化したものです。その前の標語であったMDGsに比べると、日本国内での認知度は月とスッポンの違いであり、未就学児ですら聞いたことがある単語となっています。そこで疑問に思うのは、なぜここ数十年間顕著になっていた環境問題に対して急に着目することになったのか、なぜここ数年で急にSDGsという標語を浸透させようとメディアや官公庁が躍起になっているのか。その回答に行きつくために、大きなキーワードとなるのは中国の台頭です。


中国の台頭を潰すための方向転換

中国の経済発展はもはや止まることはありません。批判的なメディアは経済成長率の鈍化を声高に叫びますが、それでも毎年GDP成長率が前年対比6%~10%をキープしており、他の先進諸国が2%以下であることと比べれ雲泥の差です。その手法は必ずしも正道のものではありませんが、潜在能力や戦略において、米国を追い抜く日もそう遠くはないでしょう。そこで危機感を募らせるのは欧米諸国です。今までの資本主義経済、早い話が「お金があれば全て良し」の経済指標のままでは中国が首位に立ってしまうので、国力の測定基準を変える必要がでてきたわけです。



ルール変更は欧米文化の御家芸

負けそうになるとルールを変えてしまうこと、審判を味方につけることほど卑劣なことはありません。但し、それがまかり通っているのが国際社会、欧米中心の文化であることを認識しなければなりません

古くは大航海時代の植民地支配による発展を遂げた欧米諸国ですが、その彼らが第二次世界大戦期には日本のアジア支配に対して、国際連盟の場で一斉に反対の意を表明しました。もちろん、柳条湖事件など陰謀的だった点はあるにしろ、アメリカ大陸先住民の9割を殺戮した欧米人が、それより遙かに優しい手法で領地拡大をしようとした日本を封じ込めたのです。近年では、柔道国際大会におけるルール変更、日本のバブル潰しなど枚挙に暇がありません。

そして、次の標的は中国です。チベット問題は1949年以降、ずっと存在した問題であり、ここに着目したのはアメリカのトランプ大統領でした。そして、石炭業界からの脱却ができていない北東部でのスモッグ問題など、叩けば埃がでる中国は、欧米にとっては都合の良い批判の的です。

要は、欧州諸国は白人中心・キリスト教中心の国際社会の屋台骨が揺らぎそうになると、ルールを変えてしまうという驚きの手法をとるということを忘れてはならないのです。チェックメイト後に、キャスリングをするどころか、チェス盤をひっくり返してまた初めからやらせるくらいの児戯に等しい行為なのです。そして、かつてのアジアの覇権国日本は散々その煮え湯を飲まされた歴史があることを忘れてはなりません。


ルールを作る側に回ること

日本はルールの中で戦うことがとても上手です。発明は苦手だけれども、与えられた条件の中での創意工夫は世界でもトップレベルの実力があります。しかし、ルールという枠を飛び越えることにはとても慎重になってしまいます。現在、世界情勢を決めている国際会議で日本人の活躍はとても乏しいものです。国際連合組織のひとつUNHCRで活躍された緒方貞子氏はもはや伝説的な方であり、その後がなかなか続きません。GDP世界第三位の日本にはもっと発言権があって然るべきですが、いかんせん、国際会議でのアピールやロビー活動がうまくいかず、ルールを構成するメンバーにはなかなか入れていないのが実情です。

国連事務総長に座った潘基文(韓国)やコロナ報道でWHOテドロス事務総長との癒着疑惑があった中国など、他のアジア諸国はより活発に動いています。日本人もより国際政治に興味をもってくれることを願います。

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