デジタル化を推し進めることへの危機感

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

便利さの陰に隠れる危険性

IT化という言葉すら死語になりそうな昨今、デジタル化の波はあらゆる業界に浸透している。書類のデータ化から始まり、農業・建設業といった、人工がベースとなるアナログ業界もデジタル化によって、仕事の仕方が変わっていく。大量に保管されていた書類スペースがPDF化によって、がらんどうになっている状態などを見ると、世の中が便利になったことを感じざるを得ない。それを活用して、いらなくなった書籍をデータ化するサービスも登場している。もはや本棚は必要なく、タブレット一冊に何千冊の書籍を保存しておける時代がやってきたわけである。

そうした「便利さ」に浸っているとある問題が常に頭に付きまとう。情報漏洩の危険性である。先ほどの書籍のデータ化サービスを例にあげると、著作権を取得することなく大量の書籍データが、サービス元に集約されることになる。サービス元自体の信頼性は言わずもがな、外注企業がいたならばその過程でデータが漏れることは十分にあり得る、というかそのような事件は枚挙に暇がない。個人情報ですら当たり前に漏洩する社会で、書籍や娯楽メディアのデータなど一顧だにされずにコピーされるのは想像に難くないだろう。

デジタル化を推進するのは大いに結構だが、その陰で著作権保持者、秘匿データを抱える企業は戦々恐々としている。便利で楽になった部分と、情報漏洩で損をした部分を考えると、デジタル化に意味があったのかさえ疑問に思う。日本のデータ管理、データセキュリティの脆弱性が話題になって久しいが、特に大きな対策が取られているという話題はない。


アナログで困るのは誰か

昨今の技術革新はそもそも誰のためなのか、誰かが不幸になることが前提で成り立っている、という点に疑念を抱く。電動キックボードなどいい例で、欧米諸国の都市部で日常的に使われていることを理由に法整備も道路状況も特に改善することなく導入が決まった。スイスのチューリッヒでは、どこでも返却できる勝手のよい移動手段として、電動キックボードの台数が東京都は比較にならないほど多いが、道路のゆとりが東京都の比ではない。東京の過密した道路で使用された電動キックボードは外国人観光客と一部の若者が使用しているが、彼らの通行のためにどれほどの未使用者が気を遣っているのかは全く注目されない。

話を戻そう。書類のデータ化推進は誰のために行われているのか、アナログで困るのは誰なのか、という点に着目したい。断言するが、それは決して日本人のためではない。日本人は良くも悪くも順応性が高い民族である。現代人からみて、手間がかかることでもそれに順応して作業できてしまうのが、この民族の長所なのは歴史から見ても明らかである。
では、公的書類のデータ管理は一体誰のためなのか。ずばりアメリカである。紙ベースのアナログ保存で一番困るのは、日本を外部から操作したい組織である。大事な書類の所在地は分からない、言語も容易には解読できない。それでは日本を操ることに大きな支障が生じる。
データ化のメリット①:データにアクセスする権限さえあれば、重要書類も容易に抜き出すことができるし、回覧も容易。もし、権限がなくても、プロテクトを突破するハッキング技術があれば、閲覧も可能。実質、インターネット回線から検索プロバイダまで、日本に浸食しているアメリカからすれば、日本のデータを抜き取ることなど朝飯前である。中国はそれを懸念して、アメリカとのネット接続に慎重になっている。
データ化のメリット②:翻訳機能を使うことができる。AI技術は日進月歩で、日本語翻訳者がおらずとも、簡易的な翻訳はフリーソフトで行うことができる。文書さえ手に入れば、誰でも自国語で大意をつかむことができる。グラフなどを用いた視覚資料なら、より理解は早い。
データ化のメリット③:データ検索が容易。①に近しいが、一度データ化されてしまえば、保存されているPCを特定できれば、中のデータを抜き取ることは容易である。検索プロバイダで検索できない9割のネット領域も、技術をもった人間なら自由に航行可能であり、安全地帯はない。完全に遮断された媒体で保管するか、トップレベルのファイアーウォールでデータを守るしかない。


世界のデジタル化は善意ではない

サイバー攻撃は国家間では当たり前に行われていることは、日本人にはピンとこないかもしれない。グローバル化やSDGsという聞こえのいい政策の裏には、支配域を拡大したい組織の意図が100%隠されていることに意識をむけてほしい。

ここでは割愛するが、LGBTが不自然なほど急速に日本社会に浸透したことにも、もちろん世界の富裕層の意図が含有されているのだ。

日本の重要データは、アメリカ・中国・ロシアといった同盟国家・敵性国家問わずに狙われている。それを知ったからといって、一国民が起こせる行動は微々たるものかもしれない。ただ、知っているのと知らないのとでは大違いであり、今日からでも気を付けられることはある。

スマートフォンの「データ同期」にまずは警戒してほしい。InstagramやFacebookに写真を投稿する際に、すべての写真へのアクセス権を移譲していないだろうか。また、HUAWEIのスマートウォッチと同期する際に危険性が指摘されているにも関わらず位置情報や個人データを同期していないだろうか。ひとりひとりが意識するだけで、変えていける点はたくさんある。まずは、データ管理という点で、違和感を感じるポイントには安直にYESボタンを押さないことから始めてみてほしい。

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