日本が第二次世界大戦の悪者と学校教育はいつまで教えるのか

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

日本は永遠の悪者か

日本の歴史授業では第二次世界大戦において、日本は「(悪の)枢軸国の一角としてドイツとイタリアと共に戦争を引き起こした国」として教えられます。戦勝国側の視点として、そういった視点があることも事実ですし、否定はしません。問題なのは、それを日本国内の授業で戦後ずっと生徒に教え続けることです。日本の戦後史はいつも曖昧に終わらされてしまい、近代日本の国際的な立ち位置は歴史の授業では学びません。それでは、現代に連綿と続く日本の軌跡が完成せず、歴史が尻すぼみになってしまいます。


物事には原因があって結果がある

ドイツのナチスがなぜ軍国主義に傾いたのか、日本がなぜ真珠湾を攻撃して太平洋戦争を開戦するに至ったか、全てには策略と理由があります。満州国について、中国への侵略であると批判する諸国の声もありますが、それを口にしていいのは当の中華民国だけです。大航海以後、スペイン、ポルトガルを始め多くの欧州諸国が各地を植民地と化し、北米南米に至っては先住民人口を7割~9割殺すことになりました。その後は世界の海賊国家イギリス帝国が海外領土獲得に燃え、現在でも最大の海外領土を持つに至っています。戦後はアメリカによるカリブ海諸国、中東諸国への内政干渉は枚挙に暇がありません。つまり、欧米諸国が日本の戦前行為を批判できる立場ではないのです。

また、ABCD包囲網による石油差し止め、多くの海外領地の放棄勧告など、日本を兵糧攻めにしておいてからの開戦および終戦の流れは、アメリカの策謀以外の何物でもありません。敵ながら見事としか言いようのない手腕であり、大日本帝国が盤上でも実践でもアメリカを倒せる実力ではなかったというのが太平洋戦争で証明されました。

要約すれば、日本は戦争を仕掛けざるを得ない事態に追い込まれて、その首を狩られてしまったということです。明治維新後、アジアで唯一の近代化を成し遂げ、清露の撃破から第一次世界大戦勝利後、うなぎ登りだった日本。それを面白く思わなかった英米。まさに出る杭は打たれてしまったわけです。


戦後体制はいつまで続くのか

国際連合、常任理事国の五国、1945年以後作られた戦後体制は今も変わりません。日本の発言力は、経済力を除けば、国際会議の場では重視されていないのが常です。非常任理事国入りしたとはいえ、ロビー活動も甘い根回し下手な日本が、恥をさらしている姿はもはや日常茶飯事です。それよりも問題なのは、人権問題、紛争問題で常任理事会による拒否権によっていつまでも解決できない問題が数多く存在している事実です。英米仏VS中露の構造を変えられないままでは、いつまでも問題は先送りです。いっそのこと、常任理事国を持ち回りにするなり、平等の一票にするなりした方がスムーズに進むのではないでしょうか。


日本人が日本を大切にできる教育とは

愛国国のため、こうした言葉を胡散臭いと思ってしまうような雰囲気が今の日本にあります。伝統工芸、寺社仏閣など、今でも日本人の心を惹きつけてやまない伝統は連綿と受け継がれています。それをより肌で感じるためにも、知識として学校授業で、日本史を正しく学ぶことが大切です。

戦争の勝敗は時の運であり、いつまでも首を垂れる必要はありません。勝者側の価値観に縛られ続ける必要はないのです。日本にある3000年の歴史の内、2950年続いてきた歴史と伝統がこの50年で歪曲されているのです。日本人としてのアイデンティティを身に着けるためにも歴史と古典は必須とすべきです。

子供たちに受験としての歴史を教えるのではなく、彼らが日本人としての自分に誇りを持てる教育、自分たちに続く先祖のルーツを楽しく学べるような学校教育を目指していきたいものです。

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