10代の内に一度は海外経験を

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

日本の高校生の留学割合

日本人の中で留学経験を持つ人の割合は年々増えています。為替、政治、国交とあらゆる要因が彼らの道を開いているのです。コロナ前の2019年では年間107000人ほど、内高校生は40000人を超える程度です。高校生というカテゴリーに入る人数は、およそ350万人なので、留学経験を得られる生徒は1.1%程度ということになります。

海外経験が高校生にもたらす効果

第一は多角的な視野です。今まで親や学校で教えられていた価値観と全く異なる世界に触れることになり、人間としての深みを得ることができます。例えば現代の紛争問題や難民問題について、日本のメディアでは語られない側面を多くの外国人から学ぶことができます。

第二は愛国心です。日本の中にいると、知っているようで日本の良さに気づきません。日が暮れてから街にでることの危険性など、日本に住んでいては理解できないでしょう。日本が周囲の目を気にして自分を表現できない、日本のお店はぼったくらない、などなど多くの長所と短所に気づきます。それがやがて、あなたは何者であるかというアイデンティティ形成を促すことになります。

第三は経験です。親元から離れ、自分の判断が生活に大きく影響する環境は、成長を促す意味で非常に重要です。国内ではできないアクティビティ、見れない史跡、スケールの大きな施設、考えられない汚さの道路脇、などなど良くも悪くもエキサイティングな環境が、人格や思考に与える影響は計り知れません。そこから得られる感動もキャッチするアンテナも、10代と大人になってからとでは敏感さが異なるのです。


夢を持たない若者たち

「将来の夢は?」この質問に明快な回答を答えられる若者が日本には少ないです。言葉にすることが全てではない、内に秘めたる思いがある、そう言われ続けて甘やかされてきたまま、今に至ります。学生の交流会などをすると、決定的に日本の生徒は自己表現が少ないです。キラキラとした目で多くの質問をする外国人の子どもたちに対して、日本の子どもたちは恥ずかしがって、質問や表現をためらってしまうのです。「沈黙は金」とはいいますが、国際交流の場で黙っていることは、意見が無いことに等しく存在もまた無になってしまいます。同じく、夢に関して答えられないということは、普段から全く意識していないか、夢を語る環境に置かれていないということです。


海外経験を経ることの意味

手前味噌ですが、日本人は総じて優秀です。これは国民性、識字率、ビジネス、あらゆる面で証左がある事実です。足りないものは自信のみです。自信の源になるものは自分のアイデンティティと夢への軌跡です。今の自分の立ち位置をしっかりさせるためにも、異境である海外に1ヵ月いくことを全児童に必須としたいものです。国内にいては、日本語のみで事足りてしまうため、機会を提供しなければ海外に触れることがない生徒が沢山います。ある程度、修学旅行のようにイベントとして海外に行く機会を設けることに意味があります。

国連では日本人、特に女性スタッフを渇望しています。多様性を求める組織だからこその思いであり、裏を返せば日本女性は国際協力で活躍の場が多くあるということでもあります。実際に国境なき医師団や赤十字など、国際NGO団体などで活躍する日本女性は多くいます。日本人女性は、世界でも類まれな気遣いのできる稀有な存在という、己のアイデンティティを自慢してよいと思います。

兎にも角にも、日本の子どもたちの潜在能力を覚醒させるためにも、そして今の世界という場で日本人の存在感を示すための卵たちを孵化させるためにも、子どもたちに新しい経験をしてほしいものです。

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