禁忌を犯したゲノム編集ベイビー、問われるCRISPR使用の倫理

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

昨年の記事ですが、「ゲノム編集」を行われた人間が誕生してしまったという科学界の禁忌を破った科学者のお話。


そもそもゲノムって何?

ゲノムとはDNA情報のひとまとまり、単位です。DNAがもつ遺伝子情報、塩基配列に含まれた個体情報、染色体がもつ生体情報などを全て含めたものをゲノムと呼びます。遺伝子(gene)と染色体(chromosome)をくっつけて、ゲノム(Genom)と呼称します。


ゲノム編集とは?

遺伝子編集によって、ゲノムがもつ情報というか個体の特性を入れ替える技術です。
最新技術クリスパー(CRISPR)によって、ゲノム内の情報を書き換えることは安全かつ廉価に行うことが可能になりました。

今までは品種改良の作物は、求める長所をもつ両親の配分を調整しながら掛け合わせることで、「運」次第で求める子を生産する方法をとっていました。

ex)寒さに強い稲と虫に強い稲を掛け合わせて、両方の長所をもつ稲を作るのに○年かかる

ところがCRISPR-Cas9を用いることで、求める遺伝情報をピンポイントで操作することが可能になり、より確実に品種改良が可能になったのです。

遺伝子組み換え食品などはその最たる例と言えるでしょう。


ゲノム編集を人間に行う問題点

遺伝子編集によって人間の情報も書き換えることができる、ということになるので、身長・学力・筋力・骨格はもちろんのこと、肌の色・瞳の色といった容姿や病気への耐性などあらゆる部分を改変する事ができるのです。(つまりは美容整形いらずの美男女を作成できると。)

考えられる問題点は以下の通りです。

①神学的には、神以外に人間の命に関わる部分に手を加えることは神への冒涜である。

②倫理的には、遺伝編集によって差別される側の特徴を持つオリジナル(無編集)の人々とアドバンスト(既編集)との軋轢が生まれる、優生保護法の再来。

③科学的には、副作用が完全に解明されていない遺伝子操作を人間に転用することの不確実性への検証不足、ヒトゲノム自体が大半が未解明。さらに、遺伝子疾患が発生した場合に子孫へとその情報が受け継がれてしまう。

④軍事的には、頭脳明晰・筋力増強・痛覚鈍化という超人部隊を作ることができ、核の抑止力が働く下で行える情報戦争でも優位に立てる優秀なハッカーを「作成」することができる。

こうした多くの問題点も戦争が始まれば、なし崩しで無視されるのでしょうね。


中国人科学者が犯した先走り

「ゲノム編集を人体に使うべからず」という暗黙のルールを破ったことだけでも驚愕なことです。

HIV治療薬で抑えられる症状にあえてゲノム編集を施したこと、さらに、双子の一方は、一対の遺伝子を完全に改変させたのに対して、他方は一対の片側しか改変しなかったことが批判を呼んでいます。

本文を引用すると、この科学者らは、編集が不完全であることや、双子の少なくとも1人はさまざまな変化を持つ細胞のパッチワークのようにみえることを示す証拠についても指摘している。とは当然です。

「HIV陽性の父親から子供に対しての感染リスクを防ぐことではなく、実際のねらいは、HIVの問題を抱えているカップルに、彼らの子どもを同じ運命から守る機会を与えることだった。」とのこと、言っている意味がよく分かりません。

さらに、被験者7組の夫婦に対して、「研究への参加の条件として、無料の不妊治療を提供されるはずだった」のに、それが実質行われない可能性が高いこと。

極めつけは「被験者たちに望まれない副作用や被害が生じてしまったらどうするのか。賀氏はインタビューをこう結んだ。『私は彼らと同じ痛みを味わうことになり、それは私自身の責任になります』」という、恐ろしい価値観の持ち主です。

科学誌に公表される前に、youtubeに自身で弁明動画を載せたりと奇天烈過ぎて理解できない科学者がゲノム編集という名を借りた人体実験を遂行した事実をお伝えします。


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