土井敏邦監督作品「アミラ•ハス〜イスラエル人記者が語る”占領”」を観て

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

ホロコースト生還者の両親を持つイスラエル人女性、アミラ•ハス氏に土井敏邦氏が密着同行するドキュメンタリー映像5時間に及ぶ上映会に参加しました。

内容はガザ地区でパレスチナ人と隣り合って暮らすアミラ氏が、”占領”下の実態を語るもので、如何にイスラエルの政策が差別的で、パレスチナ人に基本的人権が認められておらず、現状が劣悪な環境であるというパレスチナ側の意見に終始するものでした。
オスロ合意の未実現がアラファト率いたPLOではなく、イスラエル側が入植地から完全撤退しないためと述べ、ガザ地区の分離柵は恒常的にキブツに対して行われたテロへの苦肉の策である点などは語られず、ハマスというイスラエルを不倶戴天の仇と公言するテロ組織や国際テロ組織PLOについてはパレスチナの代表組織と語るに留めていました。

アミラ氏は自分が主観的であることは認めており、客観性を持つことが重要ではないと劇中で語りました。
「批判的な意見を求めています」と語る土井監督に、偏りがある内容ではないかと質問したところ、「”占領”こそが悪であり占領軍側の意見を語る必要はない。レイプの案件でレイプ犯の意見を聞くことはないだろう」という見解でした。
批判を求めていると述べながら、全く聞く耳持たないのには驚きましたが、これが彼のジャーナリズムなのでしょう。

内容に関しては首をかしげるものが多かったのですが、世界に数多ある意見の一つを知ることが出来たのは有意義でした。
また、こうした偏った意見が流布されることで国際パレスチナ難民救済事業機関UNRWAの願う情勢が作り上げられていくのでしょう。
UNRWAの構成員の大多数がパレスチナ人で占められる客観性の薄い国連機関である点、キリスト教社会である西欧諸国が人権問題を傘にパレスチナのロビー活動に便乗している点、パレスチナ暫定政府が多額の義援金を幹部の豪邸や私腹に費やし武器を購入し難民をそのままにすることで政治利用している点をここで記しておきます。

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