テレビがZ世代の心を掴めない理由

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

テレビ番組は若者の心を掴めていない

20代くらいまでの若者のテレビ離れが加速している。調査によると、男性はテレビを見ない割合が36.5%、女性で23%に至る。テレビは少し見るかどうか程度で、ネット動画中心の生活をしている割合は男性45%、女性37.5%である。また、「新聞を読むか」という質問にも、7割の若者が「読まない」と回答した。そして、自己啓発をしている割合は6割だった。


そもそもZ世代とは

近年、日本のニュースでも流れ始めているが、もともとは海外で1990年代後半から生まれた若者を呼称する言葉であった。以下の記事の図が見やすい。

彼らの特徴としては、
①デジタルリソースに生まれた時から触れている、いわゆる、デジタルネイティブ
②変化に柔軟に対応できる
③SNSを生活の一部として使いこなせる
④個人情報の公開に敏感
⑤組織への帰属意識が希薄
⑥「無料」で提供されるサービスに慣れている

などが挙げられる。つまり、ネット環境が整った状態で誕生した彼らは、自分でネットから情報を収集できるので、テレビの前に張り付く必要性がない。スマホひとつで大体のことが独力で行ることができるし、娯楽の時間を持つことに執着する彼らは、日本人特有の「組織による同調圧力」にも敏感だ。


そもそもテレビ番組が魅力的でなくなった

<ここからは私見です>
テレビ番組が人々を惹きつけられなくなったのは、同じニュースばかりが多局で流れ、教養番組を始めとする大人向けの番組が制作されなくなったことが。日中はグルメ番組か芸能のワイドショー、夜はお笑い芸人がMCをする娯楽番組、人々が何も考えずに流し見する程度のプログラムしか流れていないのが現状である。

グルメ番組にアイドルや芸人を起用することは視聴者を惹きつけるため、やむを得ないのだろうが、問題は彼らの語彙力である。流れる言葉は「うまい!」「すげぇ」「やばい」という大人が公共の電波で使うべきでない低俗な表現ばかりだ。日本語にはもっと繊細な表現が沢山あるし、普段子供に使うなと教える言葉遣いをなぜテレビ番組で使ってしまうのか。

また、芸能人の結婚や不倫、海外のアイドルニュースも一度流せばいい内容を連日報道し続ける。コロナ報道とウクライナ情勢も、テレビ局は独自調査もせずに楽に手に入れた情報を垂れ流すのみ(電波料を徴収できる)で、本当に報道すべき重要法案の可決や自粛ムードの中で苦しむ貧困層の現状を報道することもない。

ここで一皮向けなければ、ネットの有料チャンネルにどんどん視聴者を奪われ、地上波テレビを見るのは情報に疎い人や、変化を嫌う人ばかりになってしまうことだろう。

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