銀行が消える時

Kazuma Muroi

Shalom Homesの代表取締役。NPO法人横浜市まちづくりセンターの理事。執筆テーマは古武術・子育て・民俗学・宗教学。

盛者必衰の理をあらわす

ブロックチェーンの技術革新が、銀行を介在しない送金システムの構築に拍車をかけている。仮想通貨の隆盛も含めて、その勢いは留まるところを知らない。Meta(旧Facebook)が創ろうとした仮想通貨Diem(旧Libra)は欧州各国の中央銀行にがんじがらめの規制をかけて風前の灯となっている。しかし、既得権益をもつ旧組織の抵抗もやがて民衆の需要という大きな波に抗えなくなってくるのは歴史が証明している。

銀行システムは維持管理に大きなコストを有する。日本のATM維持費は年2兆円、それは利用者への手数料といった形で、負担を課すことになる。銀行という仲介組織が介在しなければ、その分の負担は無くなるわけだ。


本当に安定する業界とは

利用者に大きな利益をもたらすこの潮流だが、視点を経営者側に移してみよう。銀行といえば金融業界の中で絶対に必要な不沈艦と思われていたものでも、こうして技術革新がその牙城を崩してしまう。それは、常に企業側に変革を求め続ける経営戦略を問うことに他ならない。

一般的に金融業界は給与も高く、エリート層が多いのだが、こうした形で雇用が奪われることを事前に誰が予想できるだろうか。第一次産業に近い人間も、機械化によって多くの労働人口が職を失うことになった。銀行に就職している人間は多くが他の就職口を探すができるであろうが、母体となっている銀行はその変化に対応できないところもでてくる。地方銀行のいくつかは倒産が予想される。経営の舵取りの難しさを感じざるを得ない。

技術革新の少ない古い業界に留まるか、はたまたブルーオーシャン戦略を狙うか。何も考えずに生き残れるほど、ビジネス社会は甘くない。


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